人の難治性疾患である全身性エリテマトーデス(ループス)の治療法は、現在コーチゾンなどを含めた免疫抑制剤などにより、著しい病態の改善が認められ生存率も上昇した。しかし、一方では、免疫抑制による副作用(易感染性)や患者の精神的・経済的負担が大きいなどの問題がある。現在、それらの治療法に比べ、さらに有効で、安全性が高く、副作用の少ない治療法が世界的に模索されている。本病は遺伝的素因を背景に、環境因子や内分泌系・神経系が複雑に絡み合って発症する。特に免疫系の撹乱は病態に深く関与するが、それらのうちサイトカイン産生異常が指摘されてきた。従来、本病にはTh2型のサイトカインが病因と考えられてきたが、我々の実験成果からTh2型サイトカインに拮抗するTh1型のサイトカインが、病理発生(特に糸球体腎炎)に重要な役割を果たしているという考えに基づき、それらを標的とした遺伝子治療を中心にモデルマウスにおける知見を概説した。 アレルギー性喘息はTh2型の代表的な疾患である。感作個体が再度アレルゲンに暴露された局所における病態の病理発生については、よく解析されている。一方、アレルゲン非暴露部の病態が臨床的に指摘されている。しかし、それらの本態は殆ど不明であるが、モデルマウス小腸に非免疫学的機序による好酸球性血管炎がある事を明らかにした。 本課題では自己免疫疾患の効果相における効果細胞・分子によるNicheと標的細胞の破壊を明らかにする事であるが、それらと免疫学的に対局にあるアレルギー性疾患についてNicheの破壊という観点から、病態の一端を明らかにした。
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