研究課題/領域番号 |
21580365
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
伊藤 勝昭 宮崎大学, 農学部, 教授 (70136795)
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研究分担者 |
阿野 仁志 宮崎大学, 農学部, 助教 (50372800)
伊藤 薫 南九州大学, 健康栄養学部, 教授 (70341633)
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キーワード | 頻尿 / 膀胱炎 / 過活動膀胱 / 排尿反射 / ATP受容体 / ムスカリン受容体 / 排尿痛 |
研究概要 |
2種のラット慢性頻尿モデルで排尿動態、排尿痛、残尿を比較し、頻尿、膀胱痛、残尿の関係を検討した。モデルとしては尿道上部を糸で結紮した下部尿路閉塞モデル(BOO)、抗ガン剤cyclophosphamide (CYP)を腹腔内注射したCYP膀胱炎モデルを作成し、それぞれ2~4週後あるいは48時間後にシストメトリー実験(無麻酔下で膀胱内に持続的に生食水を注入し排尿反射、行動、排尿を観察する)を行った。CYP膀胱炎モデルでは排尿時に痛みに反応すると思われる行動が観察され、明らかな残尿増加が認められた。しかしBOOモデルでは尿道狭窄後週を追って頻尿が増加したが、排尿時に痛みに反応する行動は観察されなかった。また残尿の増加も認められなかった。これより排尿時に疼痛が存在すると、排尿行動を中断し、そのため残尿が生じる可能性が示唆された。ATP受容体であるP2Xの拮抗薬はCYPによる頻尿、排尿痛、残尿を抑制したが、BOOモデルでは頻尿抑制効果は小さかった。 別の実験でラットの膀胱排尿筋の収縮に関与する受容体の検討を行った。排尿筋を電気刺激したときの収縮はムスカリン受容体拮抗薬oxybutynin、ATPの受容体P2X1拮抗薬MRS2159およびP2X3拮抗薬A317491で抑制された。P2X3は従来知覚神経上に存在し、平滑筋収縮には直接関与しないとされていたが、今回の結果はP2X3も膀胱収縮に関与する可能性を示すものであった。そこで排尿筋のP2X3mRNAおよびP2X3タンパク質の発現を検討したところ排尿筋にP2X3が発現することが確かめられた。これよりP2X3は膀胱収縮に関与する可能性が示された。先にA317491はP2X3を阻害してCYPによる排尿反射亢進を抑制することを報告したが、今回の結果は、P2X3は膀胱収縮にも関与するためそのブロックは過活動膀胱治療に寄与する可能性を示している。
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