研究課題
循環器疾患に罹患した動物(臨床例)を題材に、臨床検査データーと血中エンドセリン濃度との関係を客観的に評価し、エンドセリンの循環器疾患における病態マーカーとしての有用性を検討した。研究対象を循環器疾患が疑われ酪農学園大学附属病院に来院したイヌとし、飼い主に研究目的を説明し、承諾を得た動物について行った。検討対象疾患は弁膜疾患(僧房弁逆流)とした。検査項目は、臨床症状(臨床的ステージ分類)、一般血液検査、胸部X線検査、超音波検査、血中エンドセリン濃度測定で、臨床的病期(臨床的重症度)と血中エンドセリン濃度の関連性について検討した。その結果、罹患犬では健常犬に比べ血中エンドセリン濃度の有意な上昇が確認されたが、臨床的重症度と血中濃度との間に有意な関連性は認められなかった。臨床的重症度と血中濃度との間に有意な関連性が認められなかったことは、血中エンドセリン濃度に大きな影響を与える肺組織におけるエンドセリン産生が僧帽弁逆流では顕著でないことを示唆している。1.今回の対象動物群において、弁膜疾患にもとづく重度の肺高血圧症を併発する個体は含まれていなかった。2.ヒトでは、肺高血圧症において血中エンドセリン濃度の顕著な増加と、病期と血中濃度の有意な関連性が示されている。ことなどから、本年度は犬の肺高血圧症に焦点を絞り、病期と血中濃度の関連性を再検討する。
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Vet.Immunol.Immunopathol. 132
ページ: 85-90