研究課題
インフルエンザウイルスの遺伝子再集合の解明は、新型インフルエンザウイルスの流行を予測する上で重要な知見となる。そこで、モデルvRNAを用いたVLP作製と蛋白質断片コンプリメンテーションを組み合わせた実験系を構築して、インフルエンザウイルスの増殖においてHA分節遺伝子の維持に影響する要因を、他のウイルスゲノム分節との相互作用の可能性に焦点を当てて解析する。既知の相互作用分子であるMyoD蛋白質とId蛋白質に断片化Firefly luciferase(FL)またはRenilla luciferase(RL)をそれぞれ融合させ、HA、NA、M、NSの4ゲノム分節から発現させた。RNPからの発現実験では、各分節のホモの組み合わせで断片化FLに比べ再構築FLでは180倍以上の顕著な活性を獲得した。次に、断片化FLをHIVNA、HA/M、HA/NSの組み合わせで発現するようにVLPを産生させ、FLの再構築をそれらVLP感染MDCK細胞で検出を試みたが、酵素活性は検出できなかった。再構築FLの低活性が問題と考えられた為、VP16-MyoD、GAL4-Idを発現するVLPを作製し、GAL4結合領域下流に全長luciferase遺伝子を持つ細胞に感染させたが、酵素活性は検出できなかった。これまでの実験から、再構築luciferaseは全長の場合に比べて活性が顕著に低下すること、VLP産生量の限界により標的細胞への遺伝子導入効率が悪いこと、ゲノム分節の遺伝子発現パターンが分節により異なること(例:HAとNA)などが当初の計画を多大に阻害することがわかった。蛍光蛋白質ではゲノム分節から共発現が確認できる為、再構築luciferaseには検出系を考慮する必要が考えられる。VLP感染による経時的な発現状態を考えると、単一細胞におけるパルス的な活性をリアルタイムで検出することが有効であろう。
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