研究課題
本研究は、北部ベトナムの市場で売られているアヒル卵が保有する移行抗体から、親鳥におけるH5N1亜型鳥インフルエンザウイルス(以下H5N1)の自然感染状況を把握し、食の安全に関する調査を目的とする。平成21年度は、ウエスタンブロッティング法に用いるNS1抗原の作製および精製法を確立した。NS1タンパク質はウイルス粒子に取り込まれない非構造タンパク質で、ワクチン接種ではNS1タンパク質に対する抗体は産生されず、抗NS1抗体の存在はウイルスに感染したことを示し、ワクチン接種鳥とウイルス感染鳥を分けることが可能となるタンパク質である。作製したNS1抗原はベトナムにおいて人から分離されたH5N1のNS1タンパク質遺伝子をpGEX-5X-1ベクターに挿入し、GST結合型NS1タンパク質として大腸菌に発現させ、グルタチオンセファロースに吸着させて精製、濃縮した。各タンパク質の大きさはNS1タンパク質が約28kD、GSTが約26kDで、SDS-PAGEにて、合計約50kD付近に発現タンパク質のバンドを検出した。精製NS1タンパク質はベトナム国立獣医検査局(NCVR)から分与されたH5N1感染アヒル血清と反応することをウエスタンブロッティング法にて確認した。さらに、分担研究者である伊藤、村瀬らが2006年から2007年に北部ベトナムの農場から採取したアヒル血清を用いて、その反応性を確認した。本年度はハノイ市内の市揚(10市場)から購入したアヒル卵(1市場10個)の卵黄からIgYを精製し、抗H5特異HI抗体保有状況を調べ、さらに作製したNS1抗原を用いたウエスタンブロッティング法にて、NS1抗体調査を行う。
すべて 2009
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J Virol Methods. 160
ページ: 7-13