研究課題
食鳥処理場のどの工程でカンピロバクターの汚染が起こるのかを調べたところ、脱羽後にと体全体に汚染が広がることが分かった。供試した殺菌剤の中で塩化セチルピリジニウム(CPC)が最も高い殺菌効果を示した。そこで、CPCのと体表面への浸透を促進させるため、真空装置を用いて陰圧と常圧を繰り返した後に、CPC液に浸漬したと体に28~130KHzの共振型超音波処理を行った。さらに共振超音波を照射する間、と体を回転させることで発熱による煮肉状変化を回避し、かつCPCによる殺菌効果を高めることに成功した。特に生食あるいは不十分な加熱処理で摂食されることが多い地鶏を用いてこの殺菌処理を行ったところ、カンピロバクターを検出限界値以下まで殺菌することができた。鶏皮の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、未処理のものと比較して、皮膚に付着した細菌はほとんど認められなかった。この殺菌方法とその制御装置については、国際特許の出願を行った。CPCでと体を殺菌した後に、鶏皮にどの程度の薬剤が残留するかを調べるため、高速液体クロマトグラフィー法による検出法について検討した。親水性相互作用クロマトグラフィー用(HILIC)カラムを用いて、酢酸アンモニウム・アセトニトリルを移動相としたイソクラティック分析を行ったところ、鶏肉中のCPCの定量下限値は、0.125μg/gで、従来のHPLC測定法に比べて複雑な移動相を使用しない簡便で安定した測定法を確立することができた。次に、カンピロバクターが鶏皮表面にどのような機序で付着するのかを調べるため、C.jejuni81-176株を用いて鞭毛、運動性、莢膜多等、外膜蛋白(PEB1)を欠損した変異株を作出し、野生株との付着能を比較した。その結果、いずれの変異株の付着能は野生株と同程度であり、鞭毛、莢膜多糖、PEB1蛋白は付着に関与していないことが示唆された。
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超音波TECHNO
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