カンピロバクター・ジェジュニがAcanthoamoeba polyphaga内で増殖する際に必要とする遺伝子を同定し、本菌のアメーバ細胞内増殖メカニズムを解明するために以下の実験を行なった。 (1) スクリーニング法確立のための予備試験 本年度は、まず最初にC.jejuniとA.polyphagaとの共培養における培養初期の菌数とその後の増殖の経過を調べた。24穴プレートを用い2×10^5/wellのアメーバをシートさせ37℃の大気中でC.jejuniと共培養した場合、最低でも10^2/wellの菌を加えれば24時間後の上清中のC.jejuniは10^5/wellのオーダーで検出可能であった。一方、同様の培養条件でC.jejuniのみを培養した場合、24時間後にC.jejuniは検出限界以下であった。 (2) トランスポゾンライブラリーの作製 81-176株用い、その染色体DNAにin vitroでマリナートランスポザーゼによりトランスポゾンをランダムに挿入し、目然形質転換によりトランスポゾンの挿入で遺伝子が破壊された変異株を作製した.その結果、3600以上の変異株からなるライブラリーを得ることができた。 (3) アメーバ内増殖変異株のスクリーニング Acanthoamoeba polyphagaを96穴プレートの各穴で培養しシートさせた。それぞれのウェルに上記方法で得られた変異株を接種し、37℃大気中で15~48時間共培養した。定期的に上清を採取したものを寒天培地にスポットし、37℃で微好気培養することでアメーバ細胞内での増殖を評価した。その結果、培養上清中の菌数が野生株と比較して減少している変異株を10株得た。 (4) トランスポゾン挿入部位の同定 現在、上記スクリーニングから見いだされた株のゲノム上でのトランスポゾン挿入部位を特定するためにarbitary PCRを行ない、増幅されたDNA断片の塩基配列を決定中である。
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