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2011 年度 実績報告書

家畜のボツリヌス中毒を予防する糖成分給餌法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21580383
研究機関東京農業大学

研究代表者

丹羽 光一  東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (20301012)

キーワードボツリヌス毒素複合体 / ボツリヌス中毒 / 小腸上皮細胞 / トランスサイトーシス / 糖鎖
研究概要

ウシのボツリヌス中毒は神経麻痺を主徴とする致死的な感染症で、世界中で発症が報告されており畜産経営上の大きな問題となっている。しかしボツリヌス毒素が腸管からどのように吸収されるかは不明である。本研究はボツリヌス毒素が腸管から吸収される際の分子機序を明らかにし、毒素の吸収を抑制する物質を飼料に添加することで中毒の発症を抑制する方法を開発することを目的としている。
平成22年度までに、ウシに中毒を引き起こすC、D型毒素が小腸上皮細胞のシアル酸に結合して細胞を透過することを明らかにし、毒素とシアル酸を同時添加すると競合拮抗により毒素の吸収が抑制されることを明らかにした。本年度、予定をしていた実験動物を用いた系では安定した結果が得られなかった。一方A、B型ボツリヌス毒素が細胞内を透過するだけでなく、細胞間隙を拡張して細胞間隙を透過するという結果が報告されたので、このことがD型ボツリヌス毒素でもおきるのか、それは毒素がシアル酸に結合することによっておきるのか、そうならば毒素とシアル酸を同時た添加するごとで拡張を抑制しうるのか検討した。
トランスウェルに培養したラット小腸上皮株化細胞IEC-6にD型ボツリヌス毒素(750kDa)200nMを添加した。細胞間隙のトレーサーであるFITCデキストランの細胞層に対する透過量を測定すると、毒素添加で細胞間隙が拡張することが明らかとなり、またこの細胞間隙から毒素が運過することがわかった。この毒素による細胞間隙の拡張は、毒素と同時にシアル酸を添加することで抑制された。以上の結果から、腸管からのボツリヌス毒素の吸収は細胞内経路と細胞外経路があることが示唆され、いずれも毒素のシアル酸への結合によって起こることが明らかとなった。本研究により、家畜の飼料にシアル酸を添加することで、ボツリヌス中毒の発症を抑制できる可能性が強く示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Characterization of sugar recognition by the toxin complexproduced by the Clostridium botulinum serotype C variant strain Yoichi2011

    • 著者名/発表者名
      Tomohito Matsuo
    • 雑誌名

      FEMS Immunology & Medical Microbiology

      巻: 63 ページ: 35-43

    • DOI

      10.1111/j.1574-695X.2011.00825.x

    • 査読あり
  • [学会発表] D型ボツリヌス毒素複合体の小腸上皮細胞層透過経路に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      吉田悠真
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2011-09-24
  • [備考]

    • URL

      http://www.bioindustry.nodai.ac.jp/~seika/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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