研究課題
乳牛の乾乳後期における飼養管理が分娩前後の代謝機能、免疫および子宮内環境へ及ぼす影響を明らかにすることを目的として臨床試験を実施した。分娩予定の3週間前(W-3)から分娩後7日までに与える添加飼料の種類に応じて供試牛(ホルスタイン種経産牛81頭)を、n-6不飽和脂肪酸給与群(n-6群:n=19)、n-3不飽和脂肪酸給与群(n-3群:n=22)、飽和脂肪酸給与群(SEA群:n=21)、および対照群(CON群:n=19)の計4群に任意に分けた。W-3と分娩前1週(W-1)、分娩後3週(W3)、5週(W5)および7週(W7)に血液生化学検査を行い、血糖(GLU)、尿素窒素(BUN)、総コレステロール(T-CHO)、遊離脂肪酸(NEFA)およびβ-ヒドロキシ酪酸(β-HB)濃度を測定し、W5とW7に子宮頸管径の測定、メトリチェックによる腔粘液の採取とサイトブラシによる子宮内膜スメアの採取を行った。メトリスコアは5段階で評価、子宮内膜スメアは多形核白血球の割合(PMN%)を記録し6%を超えるものを子宮内膜炎とした。その結果、PMN%はW5、W7ともに4群間で有意差を認めなかったもののn-6群ではCON群よりもやや低く、子宮頸管径はn-6群、n-3群およびSEA群においてW7ではW5と比較して有意(P<0.05)に低値であった。メトリスコアはW5とW7との間、および4群間で有意差を認めなかった。GLUはW3においてn-6群が他の3群と比較して有意(P<0.05)に高値であった。BUNはW5でSEA群が他群と比較して有意(P<0.05)に高値であった。NEEAはW-3を除く全ての試験期間においてn-6群が有意(P<0.05)に低値であった。以上の結果より、乾乳後期における脂肪酸の給与は分娩後の子宮修復を促進させる効果を有することが示唆された。また、n-6不飽和脂肪酸の給与は、泌乳初期における体脂肪の動員を抑制する効果を有すること、そしてこの効果はn-3不飽和脂肪酸よりも高いことが示唆された。
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Journal of Reproduction and Development
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doi:10.1262/jrd.10-130H
日本家畜臨床感染症研究会誌
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