研究課題/領域番号 |
21580386
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80172708)
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研究分担者 |
長濱 正太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70456177)
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キーワード | 犬 / 猫 / 薬物動態 / オピオイド / レミフェンタニル / 血中濃度 / 高速液体クロマトグラフィー / 固相抽出法 |
研究概要 |
まず、高速液体クロマトグラフ質量分析法を用いた全血中レミフェンタニル濃度の測定法の開発を行った。その結果全血検体にアセトニトリルを加えて除タンパク処理を行った後、上清を固相抽出することで少量の血液(全血1ml)で低濃度(検出限界:0.1ng/m)のレミフェンタニルを短時間(1検体につき6分)で検出可能であることが明らかとなった。 次に、犬と猫の静脈内にレミフェンタニルを1.5μg/kg/minの投与速度で5分間持続投与しレミフェンタニルの薬物動態解析を行った。その結果、薬物動態パラメータは、犬ではAUC:102.7±37.5ng・min/mL、MRT:5.2±0.7min、tl/2:6.1±1.7min、CLtot:82.7±27.3mL/min/kg、Vss:437±172mL/kg、猫ではAUC:31.6±16.4ng・min/mL、MRT:3.6±0.3min、tl/2:3.6±2.8min、CLtot:288.7±103.7mL/min/kg、:1008±335mL/kgであった。犬のMRT、tl/2は猫より長く、CLtotは猫の約1/3、Vssは猫の約1/3であることが明らかとなった。 犬ではレミフェンタニルの速やかな血中濃度上昇に伴い、鎮静、心拍数および呼吸数減少といった作用が速やかに発現し、血中濃度の速やかな減少に伴いこれらの作用も速やかに消失した。一方、猫では投与直後から活動性が増加したが、興奮あるいは攻撃行動は認められなかった。これらは薬剤投与終了3-4分後には消失した。また心拍数や呼吸数の減少も認められなかった。以上の結果から、犬と猫においてレミフェンタニルの薬理作用には大きな差があることが明らかとなったが、その要因として薬物動態よりも薬力学的な相違の方が大きいと考えられた。
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