研究課題/領域番号 |
21580387
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
西藤 公司 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (20365422)
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研究分担者 |
岩崎 利郎 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (50262754)
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キーワード | 感染症 / ブドウ球菌 / 表皮剥脱毒素 / 細胞接着 / デスモグレイン / 皮膚 / 膿痂疹 / 滲出性表皮炎 |
研究概要 |
本年度はStaphylococcus pseudintermedius由来の表皮剥脱毒素遺伝子を単離したとともに、同毒素の組換え蛋白を作成して犬皮膚における病原性を検討した。 イヌ膿痂疹病変部から分離したS.pseudintermediusより、表皮剥脱毒素遺伝子であるexi遺伝子を単離した。そしてexi遺伝子産物であるEXIの祖換え毒素を、大腸菌の発現型を用いて作成することに成功した。作成した組換えEXIの病原性を評価するため、同毒素を正常犬に皮内投与したところ、注射部位にイヌ膿痂疹と同様の表皮内水庖が形成されることを病理組織学的に証明した。また注射部位の皮膚を免疫染色することにより、重層扁平上皮の細胞接着因子であるデスモグレイン(Dsg)1に対する染色性が消失するのに対し、Dsg3の染色性は変化しないことを確認した。さらに祖換えEXIが、バキュロウイルス発現型で作成した組換えイヌDsg1を消化するのに対し、同法で作成した組換えイヌDsg3を消化しないことを確認した。また同毒素が、イヌおよびブタDsg1を消化するものの、ヒトDsg1は消化しないことを証明した。 以上の結果は、これまで未知であったイヌ膿痴疹における水庖形成機序を初めて証明するものであった。またS.pseudintermedius由来の表皮剥脱毒素が、特定の哺乳動物由来のDsg1を特異的に消化するユニークな酵素であることを初めて証明した。今後はヒトDsg1のみを切断するS.aureus ETと、同毒素との間でアミノ酸モチーフを互いに置換したスワッピング毒素を作成することで、各毒素の酵素活性に重要となる毒素分子上のアミノ酸配列を決定しうることが示唆された。
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