研究概要 |
イヌから分離されるコアグラーゼ陽性ブドウ球菌はまとめてS.intermedius group(SIG)と呼ばれている。このSIGはイヌのアトピー性皮膚炎(AD)病変部から高率に分離され、さまざまな細胞外毒素を産生する能力があることが明らかとなっている。しかしながら、これらの細胞外毒素がイヌADに対してどのように作用するかは不明である。昨年度、膿皮症から分離したSIGのほとんどはS.pseudintermediusであり、S.pseudintermediusから細胞外毒素が産生され、イヌの皮膚において産生される主なSEsはSEC_<canine>であることを明らかにした。今年度はこの細胞外毒素がイヌADに対してどのように作用するかを解明するためにstapylococcal entcrotoxin(SE)の精製とその毒素が産生されたことの確認のためにその毒素による犬リンパ球刺激能を調べた。 1) staphylococcal enterotoxin(SE)の精製 ブドウ球菌はSEsの他にも種々の外毒素および酵素を産生するため,SEC_<canine>の皮膚における機能を詳細に解析するためには可能な限り精製する必要がある。そのため,発現ベクターおよび大腸菌を用いてイヌの皮膚におけるSEC_<canine>の機能解析に利用可能なリコンビナント蛋白(rSEC_<canine>)を作製した。 2) SEC_<canine>の犬リンパ球刺激能 イヌのリンパ球を培養し、その培養液にリコンビナント蛋白(rSEC_<canine>)を添加し、FACS解析でリンパ球刺激能を確認した。その結果,イヌリンパ球刺激能を示すrSEC_<canine>を得た。 したがって,次年度にrSEC_<canine>を用いてイヌADに対してどのように作用するか解明することが可能となった。
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