平成21年度は、5月11日~22日に、タイ・チュラロンコーン大学にて開催されたInternational Training Course on Companion Modelling for integrated Renewable Resource Managementに参加し、フランスのCIRADが開発したエージェントベースモデル開発用のプラットフォーム(CORMAS)の利用を習得するとともに、8月10-31日にインド・タミルナードゥ州を訪問し、フィールドワークを行った。在来作物の作付からProsopisへの土地被覆への変換は、経済的な比較優位性に基づくとの仮説の下、Gundar川流域の10数村において、Prosopisの生産費用および雑穀・マメ類の生産費用に関する聞き取りを行った。その結果、干ばつに見舞われた調査地の現状を反映し、雑穀・マメ類から収益が殆ど得られていないこと、その一方でProsopisから得られる収益は700~10000ルビー/年/Acreと、農家によってかなりの幅があること、この幅の原因はProsopisの生育が土壌に強く影響されることや、Prosopis買い上げ業者と生産者の関係によることが明らかになった。また、地域の火力発電所の熱源として使用されるなど、インドのエネルギー事情を反映してProsopisへの需要は拡大しているにもかかわらず、農家の収入はそれほど大きな変化が認められないことから、中間業者によるマージンを定量的に分析する必要性が明らかになった。今後さらなる検討を進め、来年度には成果の発表を行う予定である。
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