研究課題
国土の25%を占める植林地からは毎年数千万トンの木質資源を持続的に得ることが可能であるが、安価な輸入材との価格競争から、ほとんど利用されていないのが現状である。もし、木質を液化燃料などの多様な形態に変換することが出来れば、カーボンニュートラルな次世代エネルギーとしての利用が期待できる。そのためには木質に含まれるリグニンを低分子化する必要があるが、本研究では、効率的なバイオリアクター系開発を最終的な目的として、リグニン分解能を高めた白色腐朽菌の育種について研究している。具体的には、リグニン分解に関与する多くの遺伝子群をまとめて制御する鍵となる遺伝子を特定し、それを育種ターゲットとしたい。昨年度、代表的な白色腐朽菌、Phanerochaete chrysosporiumのトランスクリプトーム解析から、リグニン分解酵素生産への関与が強く示唆されたカルモデュリン(CaM)遺伝子について主に解析した。CaMはアトロピン応答性であり、従来解析していた経路よりも下流で働いている因子であることが示唆された。CaM阻害剤などを用いた試験により、CaM遺伝子がリグニン分解酵素生産に必要であり、木質リグニン分解とも相関していることが確認された。また、siRNAの直接導入によるハイスループットな遺伝子発現抑制系開発を開始した。
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Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 78
ページ: 1722-1731