研究概要 |
シロイヌナズナのステロールメチル基転移酵素SMT2遺伝子とCYP710A遺伝子に関するT-DNA挿入によるノックアウト系統,RNA干渉によるノックダウン系統,過剰発現系統を揃えた.これらは,実験意図を正確に反映した側鎖構造を持つステロール分子種を蓄積した.これらの植物体を供試し,下記2項目に焦点を当てて研究を進めた. 1) 植物ステロール側鎖メチル基転移反応の必須性に関する研究 SMT2遺伝子の欠損株では,生長過程の多面的局面な異常表現型を呈し,深刻なバイオマス生産力の低下とともに,生殖器官の発達不全によって種子結実に至らない.まず変異体における膜成分の変化を分析化学的に明らかにした.次に,細胞膜と小胞体膜に局在するマーカータンパク質とGFP融合タンパク質を変異体に導入し,膜構造への影響を観察した.DR5:GUSレポーター遺伝子発現コンストラクトおよびオーキシン排出輸送体PIN2-GFP融合タンパク質を変異体に導入し,オーキシン応答と輸送を検証した. 2) 膜ステロール組成改変によるストレス耐性の賦与 SMT2遺伝子の二重変異系統、SMT2遺伝子の過剰発現系統、CYP710遺伝子の発現抑制と過剰発現系統の交配を実施し,バイオマス生産量の変化,環境ストレス耐性を,広範な植物生育試験を実施している.
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