研究概要 |
これまでの検討により,1,3-cyclohexanedioneと1,3-cyclopexanedioneのC2位に光学純度を低下させることなく,不斉炭素を有する側鎖を導入する手法を確立している.本法を用いて,1,3-cyclohexanedioneと1,3-cyclopexanedioneのC2位に様々な側鎖を導入した基質の合成を行い,非対称化反応における選択性に関して調査を行なった.その結果,ヘミアセタールを形成する非対称化反応では,側鎖の種類と環のサイズには全く影響を受けず,高い選択性でカルボニル基を識別して反応が進行することを明らかに出来た.しかし,窒素原子を導入した基質でのヘミアミナール構築では,選択性が著しく低下することが明らかになり,本反応への適用は困難であることが分かった.さらに,ヘミアセタールをイソプロピルアセタールに変換すると,ヘミアセタール形成とは逆のカルボニル基と高選択的に反応することを明らかにし,単一の不斉源から両対掌体を合成する手法を確立できた.以上のようにして合成したC2位の絶対配置が異なる二種の化合物から(7S,7aS)-および(7R,7aR)-7a-allyl-7-methoxymethoxy-1,4,5,6,7,7a-hexahydroinden-2-oneを合成することに成功し,本化合物を重要合成中間体として,(+)-lycopladine Aの不斉全合成を達成した. 一方,cepharamineの不斉合成研究に関しては,すでにBCD環に相当する化合物の合成に成功しているが,本化合物からA環の構築が困難であることを明らかにしている.そこで,最初にA環を構築する経路に変更して検討を行った.その結果,AB環に相当する化合物の合成方法を確立することができた.
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