研究概要 |
Batzellaside A,B,Cはマダガスカル島西海岸に生息する海綿から単離された海洋生物由来でイミノシュガー骨格を有する最初のアルカロイドであり、多彩な生物活性を示すことが期待される。しかし、その側鎖上の水酸基の相対配置および全構造の絶対配置は不明であり、全合成も報告されていない。このアルカロイド類の全合成を達成すべく検討した結果、側鎖上の水酸基を含む全ての不斉中心を制御した鍵合成中間体の合成に成功した。さらに、ブラウンの不斉アリル化反応をもう一方の不斉配位子を用いれば、側鎖上水酸基の絶対配置のみ異なるジアステレオマーの合成も可能であると考えられる。これらジアステレオマーと天然物の各種スペクトルデータを比べる事で、天然物の相対ならびに絶対配置を一挙に確定できると考えられる。今後、合成最終工程である脱保護を行い、全合成を完了すると共に、もう一方のジアステレオマーの合成を検討し、天然物の相対ならびに絶対配置を確定する予定である。
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