研究概要 |
Batzellaside A,B,Cはマダガスカル島西海岸に生息する海綿から単離された海洋生物由来でイミノシュガー骨格を有する最初のアルカロイドであり、多彩な生物活性を示すことが期待される。しかし、その側鎖上の水酸基の相対配置および全構造の絶対配置は不明であり、全合成も報告されていない。昨年度の実績において、Batzellasideにおける5つすべての不斉中心の立体制御に成功したことを報告した。今年度は、さらに合成を進め、環状カーバメートへと変換後クロスメタセシスによる長鎖側鎖の導入を高収率にて達成し、さらにベンジル基の脱保護に成功した。また側鎖上水酸基のジアステレオマーの合成にも成功し、それぞれの立体化学を確定した。次年度において、最終工程である加水分解を行い、Batzellaside Aの可能なジアステレオマーの全合成を達成し、単離者であるCrews教授と共同で、天然物の相対配置ならびに絶対配置を確定したいと考えている。また、同様の手法により残るBatzellaside B,Cの全合成も,検討する予定である。
|