研究概要 |
1.光学活性pseudo-ortho置換アリール[2.2]パラシクロファニルボスフィン及びチオウレアの簡便合成法の開発 二つの反応剤の同時活性化により高度な不斉誘起を実現する有機分子触媒の開発を目指し,アリール[2.2]パラシクロファンのアリール基上及びpseudo-ortho位にそれぞれ触媒活性をもつ官能基を配置した化合物を設計した。今回,アリール基の両meta位に水酸基,シクロファンのpseudo-ortho位にジフェニルボスフィニル基またはウレイド基を有する光学的に純粋な化合物の簡便合成法を開発した。即ち,文献既知の光学活性pseudo-orthoブロモ[2.2]シクロファノールをトリフラートへ変換後,ボスフィン化合物の場合には,鈴木-宮浦カップリング/Pd触媒によるボスフィニル化を,チオウレア化合物の場合には,Buchwald-Hartwigアミノ化/鈴木-宮浦カップリングをそれぞれ順に行う手法で,官能基を効率的に導入できることを見出し,本手法を基盤とするターゲット分子の簡便合成に成功した。 2.合成したシクロファン分子の触媒活性の評価 合成したシクロファン分子を10-20mol%用いて,トシルイミンとメチルビニルケトンのアザ-Morita-Bayhs-Hi11man反応をTHF中室温で行ったところ,チオウレア触媒では1.5時間で反応が完結し高い反応活性を示したが,不斉収率は36%に留まった。一方,ボスフィン触媒では反応の完結に5日を要するものの,不斉収率が70%に達することが判明した。
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