研究概要 |
1.pseudo-ortho置換[2.2]パラシクロファンを骨格とする面不斉ビスチオウレア触媒の開発 光学活性pseudo-orthoブロモシクロファニルトリフラートをPd触媒によるアミノ化反応によりジアミノ化し、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアナートと反応させてビスチオウレア体を合成した。合成した触媒を各種不斉反応に適用したところ、p-ニトロベンズアルデヒドとシクロヘキセノンのDABCO存在下でのMorita-Baylis-Hillman反応では、収率57%、不斉収率49%で所望の付加体が得られた。本結果は、既存のtrans-シクロヘキサンジアミンやビナフチルアミン由来めビスチオウレア触媒で得られる結果よりも不斉収率が高い。さらに、電子不足アリールアルデヒドとニトロメタンとのHenry反応では、最高不斉収率97%で付加体が得られることを明らかにし、パラシクロファンが不斉有機触媒の優れた骨格となり得ることを実証した。 2.光学活性pseudo-ortho置換[2.2]パラシクロファンを骨格とするビスオキサゾリン配位子の開発 パラシクロファンのpseudo-ortho位に各々ベンゼン環を導入し、それらのmeta位に配位官能基であるオキサゾリンを、パラ位に立体制御因子としてフェニル基をそれぞれ配置したC_2対称型配位子を設計・合成した。合成した配位子を銅を触媒とするジアゾ酢酸エステルのO-H挿入反応に適用したところ、テトラアリールボレートを対アニオンとし、モレキュラーシーブス5A存在下、ジクロロメタン中加熱還流条件で、エタノール挿入成績体が収率75%、不斉収率73%で得られることを見出した。本触媒の不斉誘起には、シクロファンと配位官能基を繋ぐスペーサーベンゼン環及びそのスペーサーのpara位のベンゼン環の存在が重要であることも実証した。
|