研究概要 |
1.アレンのPauson-Khand型反応を活用したアルカロイドの全合成研究 5環性インドールアルカロイドMeloscineの合成研究において,我々が開発したアレン-アルケンのロジウム(I)触媒を用いるPauson-Khand型反応で4環性骨格の一挙構築を試みたが,所望の反応は進行しなかった。しかし,アレンの代わりにアルキンを用いることで問題を解決し,ラセミ体の高立体選択的全合成を達成した。 2.アレンのエンド型閉環反応を活用したアルカロイド全合成研究 種々の腫瘍細胞に対し増殖抑制活性を示すことが知られているアルカロイドGoniomitineを標的化合物とし,我々が開発した「ヨードアニリン誘導体とアレニルスタナンのStilleカップリング」-「アレニルアニリンのエンド型閉環」の連続反応を鍵反応とするラセミ体の全合成研究を行った。その結果,鍵反応と困難が予想されたクロスメタセシス反応に成功し,目的を達成した。さらに,フェニルグリシノールを不斉補助剤とするδ-ラクタムα位の第四級不斉炭素の高ジアステレオ選択的構築に基づいた(+)-及び(-)-Goniomitineの不斉全合成に成功した。得られたラセミ体,(+)及び(-)の両光学活性体の腫瘍細胞増殖抑制活性を調べ,天然型の(-)-Goniomitlneが最も強い活性を示すことも明らかにした。
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