研究概要 |
1,2-ジアミン類を合成するための共通原料として選択している2-イミダゾロンの炭素一炭素二重結合部位への付加反応の1つであるエポキシ化反応において新展開が見られた。安価で安全性の高いFe化合物と過酸化水素水を用いるエポキシ化反応において,従来用いられているdipicolinicacidを使わなくても過剰量のピリジンだけで収率良く反応が進行することを発見した。コスト軽減だけでなく、操作も簡便化でき、合成反応としての利用がより容易になった。 また、N上にキラルアシル基を導入してのジアステレオ選択的エポキシ化反応において、94%deという高選択性を実現することに成功し、光学分割とは別ルートでのキラルシントン合成法を確立することができた。さらに、キラルアミン存在下での反応においては、低いながらも(10-20%ee)エナンチオ選択的反応が進行し、さらなる高選択的反応の開発への足がかりとなった。 光照射によるスルホニル保護基の除去については、アリールスルホニル基のアリール基部分の検討により、より効率的な反応の進行の可能性を見出した。短時間・高収率というだけでなく、より長波長の光を用いることが可能となり、実用性は格段に向上するものと思われる。 尚、不斉触媒の配位子として用いられるC2対称性ジアミンにおいて、置換基として1-ナフチル基を持つものの合成を行った。広範囲にわたる立体障害も持つこのアミンの不斉制御能については次年度検討予定である。
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