研究課題
1) p21^<ras>ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤TAN-1813の全合成に関する研究TAN-1813は2000年、武田薬品の研究グループにより、真菌類であるphoma sp.FL-41510の培養液から単離・構造決定された天然物であり、優れたRasファルネシルトランスフェラーゼ阻害作用(IC_<50>=2.3μM)を有し、新規抗癌剤として期待されている。このTAN-1813は、核間位(4a位)およびその隣接位(5位)の立体化学および絶対配置が未決定であるが、熱力学的安定性を考慮した推定構造(4aR,5S)で合成し、完全化学合成を達成すると共に天然物の絶対配置を決定することを目的として行った。申請者らは、TAM-1813の上部構造であるマレイミドセグメントの立体選択的な合成を検討した。すなわち、市販のtrans-2-オクテンにEvansの不斉補助基を導入後、不斉Michael反応によりアリル基を立体選択的に導入し、数工程を経て上部構造であるマレイミドセグメントを合成した。さらに、下部構造であるデカリン環との結合を考慮し、プロモマレイミドおよびスクシンイミド構造を有する上部構造部位の合成も達成した。2) ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤FK228の類縁体合成に関する研究FK228は、優れたピストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害作用を示し、新しい分子標的抗癌剤のリードとして注目されている。すでに申請者らは、マクロラクトン化反応を機軸としたFK228の全合成を達成している。本年度は、この合成法を基軸としてFK228の2位にメチル基(アラニンユニット)を有する両エナンチオマーを合成を行った。その結果、この2位のメチル基は合成段階、特に鍵反応である椎名マクロラクトン化反応によりエピメリ化しやすいこと示唆される結果が得られた。そこで、マクロ環化反応を光延条件に適用可能な基質の合成をおこない環化前駆体の合成を達成した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (3件)
Heterocycles 80
ページ: 229-250
Heterocycles 77
ページ: 263-272
ページ: 533-538
Chem.Eur.J. 15
ページ: 2826-2845
ページ: 11174-11186
Heterocycles 79
ページ: 1087-1091
Org.Lett. 11
ページ: 4286-4288
有機合成化学協会誌 67
ページ: 909-920
天然物の全合成:2000~2008(日本)(化学同人)
ページ: 11, 163-164, 200-201
天然物全合成の最新動向(シーエムシー出版)
ページ: 50-67