研究概要 |
細胞周期阻害物質であるネオキサリンは、トリプトファンとヒスチジン由来のインドールアルカロイドであり、分子内に特異なスピロアミナール構造と4級炭素に結合したイソプレニル基が存在する複雑で特異な構造を有している。これら特徴的な構造を立体選択的に構築するにあたり、フロインドリンの不斉合成の応用、スピロアミナール骨格の構築という鍵反応を考案した。すなわち、まずマジンドリンの合成で確立したフロインドリンをインドール乳酸からセレニル化、リバースプレニル化により合成し、次にアミナールをルイス酸によるトランスアミネーションによりジアミナールとし、更に酸化してニトロン経由でインドールのスピロアミナール構造の構築法を初めて開発した。これにより、全合成の道が開けた。 一方、ヒドロキシアパリシンは、薬剤耐性マラリア株に対し、優れた抗マラリア活性及び選択性を有するインドールアルカロイドである。しかしながら本化合物は天然からの量的供給が困難である事から、詳細な活性評価が行われていない。そこでヒドロキシアパリシン骨格を有する新規マラリア治療薬の開発を目的とし、大量合成可能な効率的かつ簡便な合成ルートを確立する。すなわち、側鎖部分は、不斉Michel反応により構築し,さらにインドールのC-2へのアルキル化、さらに分子内Mannich反応により8員環を構築する方法を確立した。そして、この方法論を用いて、ヒドロキシアパリシンの初の全合成を達成した。
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