研究概要 |
特異な骨格を有する海産天然物の効率的合成法の開発というテーマのもと,当研究室で沖縄近海産軟体サンゴより単離構造決定を行ったヨナロライドの全合成研究について検討した.ヨナロライドは海産ノルジテルペノイドであり,5員環,6員環,7員環の炭素環が直列し,さらにγ-ラクトンを有する4環性化合物である.平成21年度は,まず左側3環性骨格(5員環,6員環とγラクトン)の効率的かつ立体選択的な構築法の開発について検討を行った.光学活性体の合成を視野に入れ,光学活性体として入手可能なジエノフィルと官能基化されたジエンとのDiels-Alder反応を行い6員環部位とラクトンを有する2環性化合物を構築した.このものを用い,キラル中心のエピメリ化を巧みに利用した立体選択的分子内アルドール縮合を行い,6員環とラクトンに続き5員環部位の構築,すなわち3環性骨格の構築に成功した.現在この経路では,3環性骨格に対し最後の7員環構築に向けた官能基の導入について検討中である.また,ジエノフィルの光学活性体としての合成法の確立にも成功している.一方,7員環部位からの4環性骨格の構築についても同時に検討を行っている.すなわち,先に述べたDiels-Alder反応と同じジエノフィルを用い,すでに7員環を構築したジエンとのDiels-Alder反応について検討することとした.現在7員環を有するジエンの合成に成功し,今後Diels-Alder反応による右側3環性骨格の構築について検討する.
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