研究概要 |
1.ピラジノ[2',1'-5,1]ピロロ[2,3-b]インドール-1,4-ジオン系天然物の合成 前年度までに共通合成中間体イミンの合成法を確立し、天然物furctigenine A、ardeemin、karamineM、verrucofortine、aszonaleninの全合成を達成した。今年度は、この研究の展開として、10員環トリペプチドであるnovofumigatamideの合成を行い、アントラニル酸を含むトリペプチドの環化反応(10員環構築法)を開拓し、天然物の立体異性体であるepi-novofumigatamideまで到達した。 2.生物活性評価のための誘導体合成 前々年度から制癌剤多剤耐性獲得阻害作用を有するardeeminの構造活性相関研究を進めてきた。今年度、上記で確立したardeeminの合成手法を誘導体合成に適用し、インドール環、ピラジノ環およびアラニン置換基を構造変換した誘導体をいくつか合成し、多剤耐性獲得の原因となる薬物排泄に関わるP-糖タンパク阻害活性試験を実施した。その中で、天然物 ardeeminより強くP-糖タンパク阻害活性を示す誘導体を見出すことができた。今後、この結果を拠り所に構造活性相関研究を発展させたい。 3.2連続第四級炭素構築法を用いる天然物の全合成研究 前年度まで、chimonanthine、WIN 64821の合成を目標に、2-(3,3-ジ置換アリル)-3-インドリノンのオレフィン化、異性化、Claisen転位の連続反応を行うことで2連続第四級炭素を含有する2-インドリノンのジアステレオ選択的構築法を開拓した。今年度は、この2-インドリノンから天然物への変換反応を種々検討し、chimonanthineの想定合成中間体の構築に必要な炭素鎖を取りそろえることができた。
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