研究概要 |
1) Eupomatilone類縁体の合成研究 Eupomatia bennettiiより単離されたeupomatilone類の合成法を確立するため,鍵反応となる酸素官能基化されたビフェニルメチルエーテル誘導体の不斉[2,3]-Wittig転位反応の選択性を検討した.前年度,この鍵反応のエナンチオ選択性が中程度にとどまる点が課題となっていたが,塩基をt-BuLiからn-BuLiに変更し,溶媒系をヘキサンからヘキサンとエーテルの混合溶媒に変更することで克服することができた.さらに2工程を経てEupomatilone2の不斉全合成を達成することができた.より温和な条件でも選択的な転位反応が進行することを見出したことで,より不安定な官能基をもつ他のeupomatilone類縁体合成への応用が期待される. 2) THFリグナン類縁体の合成研究 昨年に引き続き,クレオソートブッシュ(Larrea tridentata)より単離されたTHFリグナン類縁体の検討を行った.昨年度,種々のTHFリグナン類縁体を二組の立体異性体混合物ではあるが,共通の中間体からTHFリグナン類縁体の立体異性他全6種の各異性体を合成することができた.今年度は課題となる選択性の改善を目指し,アセタールへの立体選択的なアリール化を経る別ルートを検討した.しかし,予期せぬ副反応が進行し,目的物を得ることはできなかった.今後は,以前の合成ルートをさらに精査してゆく予定である.
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