研究概要 |
1)Eupomatilone 5の合成研究 昨年までの検討で確立されたeupomatilone 2の合成法に基づいて,γ-ラクトン環が置換していないベンゼン環側にメチレンジオキシ構造をもつeupomatilone 5の不斉合成を検討した.鍵反応となる不斉[2,3]-Wittig転位反応は問題なく進行し,良好なエナンチオ選択性(91% ee)を示した,さらに2工程を経てeupomatilone 5の不斉全合成を達成することができた.転位反応後の合成中間体においてビアリール構造に基づくアトロプ異性体の存在が^1H NMR及び^<13>C NMRスペクトルにおいて観察された. 2)Eupomatilone 1の合成研究 次に,γ-ラクトン環が置換するベンゼン環側にメチレンジオキシ構造をもつeupomatilone 1の不斉合成を行った.予期せぬことに,これまで収率よく進行していた鈴木カップリングが低収率でしか進行しなかったが,基質の構造を変えることで克服することができた.また,不斉[2,3] Wittig転位反応が遅かったが,種々条件を検討した結果,収率は中程度(54%,原料回収考慮77%)ながら,良好なエナンチオ選択性(88%ee)まで改善することができた.さらに2工程を経てeupomatilone 1の不斉全合成を達成することができた, 3)THFリグナン類縁体の合成研究 昨年に引き続き,クレオソートブッシュ(Larrea trldentata)より単離されたTHFリグナン類縁体の合成検討を行った.昨年度,アセタールへの立体選択的アリール化を経るルートを検討したが,副反応が課題となったため,アセタールの立体選択的還元反応を経る別経路について詳細な検討を行った.その結果,二つのメチル基がシスの関係にあるγ-ラクトン体を用いてTHFリグナン類縁体の各種立体異性体を合成し,その立体構造を決定した.
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