研究課題/領域番号 |
21590041
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
津山 尚宏 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10335747)
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研究分担者 |
升島 努 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10136054)
水野 初 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30457288)
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キーワード | 質量分析 / 一細胞分析 / ナノスプレー / メタボローム |
研究概要 |
本研究で開発を行っている1細胞ビデオマススコープ法は、特定の細胞の、特定の瞬間の狙った細胞内領域をナノスプレー針で直接回収して質量分析を行い、含まれている分子の種類や量を解析することが可能である。現在までに細胞間の分子の多様性や分布の相違、薬物の代謝能力の違いが判明した。この方法の問題点として多種の分子を分離せずに検出するため、従来の分離を行い質量分析するLC-MS法に較べて分子の網羅性で劣っていた。解決方法として、ナノスプレー針の内面を親水性処理(陽イオントラップ・陰イオントラップ)、疎水性処理(C18基、メチル基)した。これらの針で細胞内分子を吸い上げて針内面に吸着させ、吸着しなかった分子を除去し、イオン化溶媒を加えて吸着した分子を溶出させてイオン化を行い、特定の分子群を選択的に高感度な検出が可能となった。 これらの針を用いて微量調節分子の検出を試みた。予めPhosphatidyl Inositol (PI)やSphingo脂質などの標品を用いて溶媒組成やイオン化電圧、装置内イオン光学系の設定などの最適な条件を、ポジティブおよびネガティブイオンモードで検討した。ヒトリンパ球培養細胞や、肝臓癌細胞を修飾した針で回収・処理し、各々の分子をSIMモードで検出を行ったところ、細胞1個からこれらの標的分子の検出が可能であった。リンパ球をステロイドで処理することにより、標的分子の変化を追跡したところ、処理後速やかに増減が観察された。 以上より、新規開発を行った内面修飾ナノスプレー針により1細胞より検出できる分子の選択性が上昇し、網羅的分子検出の可能性が拡がった。
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