研究課題
本研究では動脈硬化との関連が深いと考えられているホモシステインの代謝に密接に関連している葉酸(FA)関連化合物の高感度なルテニウム化学発光計測法を検討し、FA製剤およびサプリメントに含有するFA,並びに血中の葉酸の定量を試みた。1)前年度、用手法およびFIA法を用いる葉酸サプリメントの定量法を検討し、サプリメント中に存在する添加剤等が定量値を増加させることが分かり、分離法の検討が課題となった。そこで、葉酸のHPLC-ルテニウム化学発光検出法を検討したが、本研究では、実試料として葉酸FA製剤およびサプリメントを対象に更にHPLCの分離条件および発光検出条件を改良し、これらの定量をおこなった。対象試料:フォリアミン錠(FA 5mg/Tab)、フォリアミン注射液(15mg/mL)、FAサプリメント(FA 200μg/Tab)、ビタミンBコンプレックス(FA 200μg/Tab)を用いた。検量線:10-50μMの範囲で良好な直線関係(r=0.999)となった。シグナル/ノイズ比を3とした場合の検出下限は0.26μM(5.14pmol/inj.)であり、FA製剤等の品質評価等に1ま十分な感度を有していた。各試料を定量した結果、FAの表示値に対する含有率は100-103%であり、製剤は日本薬局方が規定する定量基準値を満たしていた。2)ラット血液試料中のFA類の定量。HPLC-CL法を用いて、血液試料中のFA類の定量を試みた。FA類がホモシステイン濃度と連動して動脈硬化のマーカーになることを期待したものである。ラット全血試料にFA、テトラヒドロFA、5-メチルテトラヒドロFAの標準品を添加し、MeOHで除タンパク後、直接注入してくロマトグラムを得た。図6に示すように5-メチルテトラヒドロ葉酸が未添加の試料から検出されたが、FA及びテトラヒドロ葉酸FAは検出できなかった。現在、FA類が不安定な性質であることから安定剤を含め、検出条件を再検討しているところである。少なくとも本検討条件化で5-メチルテトラヒドロ葉酸の定量が可能であることが示唆されたので、今後この化合物を中心にホモシステイン濃度との関連性を検討する予定である。
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