研究課題/領域番号 |
21590051
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
佐久間 信至 摂南大学, 薬学部, 准教授 (80388644)
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研究分担者 |
山下 伸二 摂南大学, 薬学部, 教授 (00158156)
木田 敏之 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (20234297)
明石 満 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20145460)
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学系, 教授 (20155237)
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キーワード | 糖尿病 / ヘキソーストランスポーター / 消化管 / 高分子複合体 / 糖鎖 / 配糖体 / デンドリマー |
研究概要 |
経口投与された糖質は、消化酵素によりグルコースなどの単糖に分解された後、小腸上皮細胞の消化管側の膜上に局在するヘキソーストランスポーターを介して能動的に吸収される。その結果、食後、血糖が上昇する。本研究の目的は、糖質の消化管内挙動を擬似し、トランスポーター阻害を介して、全身循環血へ移行することなく血糖値を正常にコントロールする高分子複合体を創製することである。これまで、直鎖状高分子のポリγ-グルタミン酸にトランスポーター阻害活性を持つ配糖体のフロリジンを導入した高分子複合体を検討してきた。しかし、本複合体は、複合体化によるトランスポーター阻害活性の低下及びフロリジンのアグリコンに由来する毒性の問題を抱えていた。ポリγ-グルタミン酸を球状高分子のポリアミドアミンデンドリマーに変更した結果、前者の問題は解決された。引き続き、トランスポーター阻害に及ぼすデンドリマーの化学構造の影響を検討した。その結果、配糖体の導入率の影響が最も大きく、導入率を低下させることにより阻害活性が上昇することが明らかとなった。フロリジン由来の糖鎖とデンドリマー由来のカルボキシル基がトランスポーター阻害に協調的に関与しているという仮説を立て、同じ糖鎖を持つ安全性の高い化合物のアルブチンに配糖体を変更することを試みた。その結果、デンドリマーにアルブチンを導入した高分子複合体は、非常に強いトランスポーター阻害活性を示すことが明らかとなった。この結果から、前述の仮説の確からしさが支持された。さらに、得られた複合体は、ヘキソーストランスポーターを介したグルコース吸収を強力に阻害する、安全性の高い経口抗糖尿病薬のシーズになり得ることが示された。
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