研究概要 |
HPLC誘導体化法の現状として,蛍光誘導体化や化学発光誘導体化等の検出応答能を高める誘導体化法・試薬は数多く開発されているが,分離性能を引き出すための誘導体化法はほとんど報告されていない。そのような状況を打開するため,本研究では生体計測に極めて有効で,実用性の高い方法論である「分離指向型」の誘導体化分析法を新しく確立することを目指した。研究の最終年度である本年度は,昨年度までの検討で良好な成果が得られつつある「フルオラ誘導体化」について更なる検討を行い,以下の結果が得られた。 (1)適用可能化合物群の拡張:既に構築したフルオラス誘導体化によるカルボン酸分析法と同様の概念に基づき,アミノ基を対象とした分離指向性誘導体化分析法についての検討を行った。様々な検討の結果,生体試料中の生理活性アミン類を簡便に計測できるようになった。 (2)カラムスイッチング法の導入:フルオラスカラムによるフルオラス化合物に対する高い認識能と,汎用ODSカラムの高い分離能を組み合わせるため,フルオラスカラムを濃縮カラムとするオンラインフルオラス濃縮・カラムスイッチングLCシステムの構築を試みた。操作の簡略化と高感度化が達成され,生体中5-ヒドロキシインドール類の超微量計測が可能となった。 (3)糖鎖分析への適用:シアル酸分析に有効だったフルオラス誘導体化MS/MS法を様々なシアロ糖鎖の分析に適用し,各種実試料計測を可能とした。 (4)生体試料計測への実用:上述の(1)~(3)のいずれについても,健常人由来試料の計測に適用可能だった。
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