研究概要 |
(1)TfRは細胞内の鉄含量に依存して転写レベルでの発現制御を受けていることが知られているが、蛋白質レベルでの分解機構についてはほとんど報告がない。TfRが鉄イオン濃度依存的にユビキチン化を受け、徐々にリソソームでの分解を受けているという新しいTfRの代謝・発現量制御機構が存在する事を報告した(R.Tachiyama,et.al.,Genes to Cells,2011)。 (2)Nedd4-Interacting Protein 2 (NDFIP2)がユビキチンリガーゼNedd4とPYモチーフを介して結合すること、リソソームに於いて非常に短い半減期で分解を受けていること、Gap junctionを形成するConnexin43のNedd4によるダウンレギュレーションを制御している(競合阻害)という新しいConnexin43の代謝・発現量制御機構が存在する事を報告した(C.Ohzono,et.al., Biol.Pharm.Bull.,2010)。 (3)TfRが細胞周期M期前半においてユビキチン化を受け、細胞質分裂時には徐々に脱ユビキチン化されてくる。このTfRユビキチン化は分裂溝へエンドソーム由来の小胞が局在することと密接に関連している)。従って、TfRのユビキチン化には少なくとも2つの異なる生理的役割があることが示唆された。 (4)膜結合型ユビキチンリガーゼであるMARCH (Membrane Associated Ring-CH)ファミリー蛋白質のひとつがTfRを基質として認識し、そのユビキチン化によるリソソームでの分解に関与することなどを予備的実験により明らかにした。
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