研究課題
オートファジーと呼ばれるタンパク質分解システムは、栄養飢餓に応答した細胞の生存戦略の主要なメカニズムとして理解されている。これまで、オートファゴソームの形成に関わる遺伝子としてさまざまなATG遺伝子群が同定されているが、オートファゴソームの"基"である隔離膜の由来については未だ明らかにされていない。申請者らは、低分子量GTP結合型タンパク質Rab32が小胞体に局在し、オートファゴソーム形成に関与することを見出した(Cell.Mol.Life Sci.,2009)。申請者は、小胞体へのRab32の局在がオートファゴソームの形成に必要不可欠である点に注目して、Rab32とともに小胞体膜にリクルートされ、オートファゴソーム膜の形成に関与するタンパク質としてA-kinase anchoring protein 1 (AKAP1)およびオートファジー関連タンパク質として知られているBeclin-1を同定した。本研究は、Rab32およびそれらタンパク質の機能解析を通して、オートファジーの分子調節機構の解明を目的とした。平成21年度において、申請者は、Rab32とAKAP1およびBeclin-1が相互作用することをすでに明らかにした。そこで、22年度において、Rab32により誘導されるオートファゴソーム形成にAKAP1およびBeclin-1が関与するか否かについて検討した。その結果、RNAi法によるAKAP1およびBeclin-1のノックダウンは、Rab32発現により誘導されるオートファゴソーム形成を顕著に阻害した。この結果は、Rab32とAKAP1およびBeclin-1が共役してオートファゴソーム形成を制御することを示唆する。さらに、阻害剤を用いた検討からPtdlns 3-kinaseがRab32とBeclin-1の相互作用を調節することが判明した。
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