申請者は、これまでの研究からRab32の小胞体への局在がオートファゴソームの形成に必要不可欠であることを明らかにした。また、Rab32とともに小胞体膜にリクルートされ、オートファゴソーム膜の形成に関与するタンパク質としてA-kinase anchoring protein 1 (AKAP1)およびオートファジー関連タンパク質として知られているBeclin-1を同定し、Rab32とAKAP1およびBeelin-1が相互作用することをin vitroおよび細胞レベルの実験により明らかにした。さらに、RNAi法によるノックダウン実験により、Rab32とAKAP1およびBeclin-1が共役してオートファゴソーム形成を制御することに加え、Ptdlns 3-kinase (hVps34)がRab32とBeclin-1の相互作用を調節することが判明した。 これらの結果を踏まえ、平成23年度においては、Rab32とBeclin-1によるオートファジー制御のメカニズムについてさらに詳細な検討を加えた。その結果、AKAP1、Beclin-1およびhVps34の小胞体膜へのリクルートメントは、GTP結合型Rab32の発現に依存した。さらに、不活性型Rab32(Rab32T39NおよびRab32N143I)によるオートファゴソーム形成阻害は、これらAKAP1、Beclir-1およびhVps34のaggresome様構造物への局在変化により引き起こされることが判明した。 本研究から得られた成果は、オートファジー研究の主要なテーマの1つであるオートファゴソーム膜の由来に関して小胞体の可能性を明確に示し、Rab32が主要な役割を果たすことが明らかとなった。
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