研究課題
(1)ヒトTRB3のコンディショナル・トランスジェニックマウスの作製を行い、3系統のマウスを確立した。それぞれのマウス由来の胎児線維芽細胞(MEF)にCreリコンビナーゼを発現させると、ヒトTRB3の発現が確認され、1系統のTRB3-Tgマウスに尾静脈よりCreリコンビナーゼ発現アデノウイルスを投与すると、肝臓でヒトTRB3の発現が見られ、核の肥大や核小体の増加が見られたほか、血管周辺部において炎症像が観察された。今後このマウスを用いて、糖・脂質代謝へのTRB3の関与を検討していきたい。(2)炎症や代謝などへの関与が示されている核内受容体RORαの脂肪細胞分化に及ぼす影響について検討したところ、RORαは脂肪細胞分化のマスターレギュレーターのC/EBPβと結合することによってコ・アクチベーターとの結合を阻害し、C/EBPβの転写活性を抑制して脂肪細胞分化を阻害することを明らかにした。また、RORαは別のマスターレギュレーターであるPPARγ依存的に発現するペリリピン(脂肪滴の生成に必須)の発現を抑制し、これはペリリピンのプロモーター上にあるPPARγとRORαの結合領域がほとんど重なっており、お互い競合的に結合を阻害することにより抑制されることを見出した(Mol. Endocrinol. (2009))。(3)マウス膵β細胞株MIN6細胞は5mMグルコース条件下で小胞体ストレスをおこすと、インスリンやその発現に重要な転写因子PDX1の発現が低下するが、TGFβが共存すると小胞体ストレスが緩和され、インスリンなどの発現低下も回復した。一方、高血糖(25mM)条件ではTGFβ存在下でも小胞体ストレスの緩和は見られず、インスリン低下も回復しなかった。これらは高血糖時、TGFβのシグナル伝達が抑制されるためであることが示唆された(in preparation)。
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