研究課題/領域番号 |
21590068
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
中西 真弓 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (20270506)
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研究分担者 |
二井 將光 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (50012646)
後藤 奈緒美 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80403971)
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キーワード | プロトンポンプ / 酸性環境 / 一分子観察 / 骨代謝 / 分泌 |
研究概要 |
本研究は、骨吸収におけるプロトンポンプV-ATPaseの役割に注目し、酸性環境の形成機構を分子レベルで解明することを目的としている。まず、破骨細胞で機能するV-ATPaseのイソフォームの構成を解析した。各イソフォーム特異的な抗体を調製し、マウスのマクロファージ系株化細胞RAW264.7を用いてウエスタン・プロット解析を行ったところ、破骨細胞への分化に伴い、a3イソフォームとd2イソフォーム(以下a3とd2)が新たに誘導された。また、a3抗体を用いて免疫沈降したところ、分化前にはd1が共沈したが、分化に伴い発現が誘導されるd2も共沈した。さらに、d2抗体を用いて免疫染色を行うと、破骨細胞の形質膜にシグナルが観察され、a3と共局在することが確認された。d2が腎臓に強く発現しているイソフォームであることから、他の腎臓特異的なイソフォームの破骨細胞に於ける発現をRT-PCRにより解析したところ、d2以外の腎臓に特異的なイソフォームは発現していなかった。これらの結果は、破骨細胞への分化に伴い、これまでに報告されていないイソフォームの組み合わせからなる新たなV-ATPaseが生じ、形質膜に局在することを示している。破骨細胞に特異的なV-ATPaseが、骨吸収窩の酸性度を制御していると考えられる。これらの知見は、今後、破骨細胞に特異的なV-ATPaseの作動機構を一分子観察で解析する、あるいは、サブユニットの修飾状態や相互作用する因子を検索するために必要不可欠な情報である。
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