研究課題/領域番号 |
21590073
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
板部 洋之 昭和大学, 薬学部, 教授 (30203079)
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研究分担者 |
加藤 里奈 昭和大学, 薬学部, 助教 (30392400)
小浜 孝士 昭和大学, 薬学部, 助教 (60395647)
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キーワード | 動脈硬化症 / 酸化ストレス / 生体内酸化LDL / apoEノックアウトマウス / ペルオキシレドキシン / リピドミクス / 血管平滑筋細胞 / プロテオミクス |
研究概要 |
動脈硬化症の発症要因の一つである酸化LDLの生成機構は未だ明らかではない。我々は、動脈硬化巣進展に先立って血漿酸化LDLの亢進が起こり、大動脈中膜において酸化ストレスが亢進していることを見出した。そこで、動脈硬化発症のごく初期段階の血管壁組織の変化について検討した。10週齢のapoEノックアウトマウスの大動脈組織のプロテオミクス解析から、いくつかのタンパク質が動脈硬化好発部位での発現が変化していることを見出した。特に抗酸化酵素の一つであるペルオキシレドキシン2(Prxn2)の発現は動脈硬化好発部位で低下していることを、ウェスタンブロット、免疫組織染色で確認した。Prxn2は中膜平滑筋で発現しているが、病巣ができ始める前の段階で発現が低下した局所では、マクロファージの浸潤がみられる傾向があり、内膜肥厚が進行すると病巣周辺の細胞はPrxn2を強く発現する。酸化ストレスに対する防御能の低下が、マクロファージの浸潤、血管組織の極での炎症反応、脂質過酸化物の沈着を促進するきっかけを与えている可能性が強く示唆された。 生体内酸化LDLの生成機構の解明に向けて、酸化LDL中の酸化性生物の詳細な分析を進め、マーカー分子を探索した。96穴のプラスチックプレートを用いて、酸化PCを認識するモノクローナル抗体DLH3が結合するヒトLDL中の抗原成分を回収した。有機溶媒で抽出された脂質成分をLC-MS解析したところ、吸着操作をしていないLDL画分と比べて酸化PCおよび酸化コレステリルエステルが明らかに増加しており、酸化脂質生成物が濃縮されていることが確かめられた。特に、酸化コレステリルエステルが多く検出されたことから、生体内酸化LDLの新たなマーカーとして利用できる可能性が考えられた
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