研究課題
基盤研究(C)
粥状硬化巣がほとんど見られない10週齢apoEノックアウトマウスの大動脈で、脂質過酸化物の沈着が内膜および中膜平滑筋部分にも認められた。この大動脈のタンパク質プロファイルを調べた。動脈硬化好発部位を含む起始部および弓部に対して、初期には病巣形成がほとんど見られない胸部および腹部の大動脈を比較したところ、抗酸化酵素ペルオキシレドキシン2(Prx2)、平滑筋細胞の分化マーカーであるSM22の発現が起始部・弓部<胸部・腹部下部であり、好発部位の平滑筋細胞の脱分化傾向が高く、酸化ストレスに対する抵抗性が低下している可能性が注目された。大動脈起始部のPrx2発現は、4週齢に比べ10および20週齢で低下していた。中膜でPrx2発現が高い部位では、隣接する内膜へのマクロファージの浸潤はほとんどみられなかった。内膜にごく少数のマクロファージの浸潤がみられた部位では中膜Prx2の発現が極めて低く、中膜Prx2の発現低下によりマクロファージが浸潤し易くなる可能性が考えられた。マクロファージが集積し内膜肥厚が進行し始めた部位では内膜、中膜ともPrx2の発現も増強していた。内膜へマクロファージの浸潤が進行し、炎症性細胞の増加とともに中膜のPrx2の発現は上昇する傾向があるのではないかと推察された。これらの結果から、大動脈に動脈硬化が進展する初期過程において、中膜平滑筋細胞で抗酸化タンパク質のPrx2の発現低下が生じ酸化ストレスが亢進することが、脂質過酸化を引き起こし、動脈硬化進展の引き金を引く初期イベントとして重要である可能性が示唆された。
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