研究課題/領域番号 |
21590082
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
浅野 真司 立命館大学, 薬学部, 教授 (90167891)
|
研究分担者 |
武内 総子 立命館大学, 薬学部, 助教 (00448169)
位田 雅俊 立命館大学, 薬学部, 助教 (70512424)
向所 賢一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50343223)
|
キーワード | エズリン / 細胞骨格 / 遺伝子改変マウス / ガン転移 / 神経ネットワーク / 組織形成 |
研究概要 |
1.エズリン遺伝子のイントロン部分に変異カセットを挿入して、エズリンの発現を野生型の5%程度にまで抑制したノックダウンマウスを作出、繁殖させて、胃粘膜構造の形態を野生型と比較、検討した。その結果、エズリンノックダウンマウスの胃粘膜では、表層の粘液分泌細胞の過形成が観察された。また、固有胃腺が萎縮し、胃酸を分泌する壁細胞、消化酵素ペプシノゲンを分泌する主細胞数の著しい減少が観察された。一方、胃腺底部おいて粘液分泌細胞である副細胞の増殖が観察された。これらの胃粘膜構築の異常は、がんの前段階である擬幽門腺化生であるSPEMにおいて認められる特性と共通のものであった。こうした結果から、エズリンは胃粘膜細胞の分化(壁細胞の分化、副細胞から主細胞への分化段階)や胃粘膜の形態形成に働くことが確認された。 2.エズリンノックダウンマウスでは血液中のリン酸レベルが低く、尿中のリン酸レベルが高いという低リン酸血症が認められた。このことから、エズリンは腎臓の近位尿細管におけるリン酸の再吸収に働くことが考えられた。 3.転移性の食道ガン細胞ESCC-DR(十二指腸の内容物を胃、食道に逆流させることによって作製させたモデルガン細胞)において、エズリンの発現レベルとガンの増殖、転移、悪性度の関連性を検討した。その結果、エズリンの発現とガンの転移能との間には明確な相関性が確認された。また、エズリンのリン酸化とガンの転移能との間にも相関性があり、リン酸化を受けたエズリンはガンの転移先端に多く発現することが明らかになった。以上の結果から、エズリンおよびそのリン酸化は食道ガンの増殖・転移に関わることが明らかになった。
|