研究課題
私共は遺伝子のターゲッティングにより酸化LDL受容体FEEL-1,FEEL-2のノックアウトマウスを樹立している。既にFEEL-1,FEEL-2はin vitroではグラム陽性、陰性の細菌を結合することを報告している。その結合を担う分子はリポテイコ酸LTAやリポポリサッカライドLPSだけではないことを明らかした。ノックアウトマウス個体を用いて細菌を投与することによる感染症の発症頻度やLPSに対する個体死に対する感受性を検討することによりマウス個体の恒常性維持や非感染性慢性炎症疾患との関係を明らかにできるものと考えられた。FEEL-1ノックアウトマウスは野生型マウスに比べて血中総コレステロール値が高く、特に高コレステロール食を負荷した場合には血中総コレステロール値は野生型の2倍にまで増加し、その増加はapoE蛋白質を含む中間密度リポ蛋白質IDL様のリポ蛋白質が血中で増加することが原因であることを明らかにした。さらに私共はFEEL-1の内因性リガンドのひとつとしてクロスプレゼンテーションを介して自然免疫に関与するHsp70を報告している。Hsp70の細胞外分泌機構は不明であったが、FEEL-1ノックアウトマウス由来のマクロファージや樹状細胞を用いてFEEL-1の新たな生理機能としてHsp70の細胞外分泌機構への関与を明らかにした。FEEL-1ノックアウトマウス個体を用いて抗原のクロスプレゼンテーションを介した非感染性慢性炎症疾患、自然免疫との関連を明らかにしたいと考えている。
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Glycobiology
巻: 22 ページ: 714-724
10.1093/glycob/cws010