研究課題
昨年度までに見いだしたNFATの新たなCN結合部位(CNBR3)CNBR3のCN結合活性を比較検討したところ、NFATc2およびNFATc4のCNBR3はCN結合に関与するが、NFATc1およびNFATc3ではほとんど寄与しないことを見いだした。並行してT細胞のIL-17A発現に対するNFATの役割を比較検討したところ、NFATc2はNFATc1に比しIL-17遺伝子発現を強く誘導し、IL-17Aの転写活性化にCNBR3が関与する可能性が示唆された。また対照として転写調節因子ZFPM1がT細胞のIL-4産生に与える影響も明らかにした。またCNBR3の発現ベクターをNFAT結合配列レポーターベクターと共にJurkat細胞に導入したところ、刺激誘導される転写活性化に対し、CNBR3は抑制作用を示した。ヒトT細胞に遺伝子導入すると、CNBR3はIL-2遺伝子発現を抑制した。CNBR3は、NFATの特異的制御を行う上で有望な標的となる可能性が示唆された。NFAT特異的制御薬の作用検討に利用するため、T細胞移入マウスにおける抗原誘発気道炎症モデルについて、CD44およびステロイド感受性に着目してプロファイリングを行った。昨年度見いだされたNFAT発現調節候補分子は全て擬陽性であったため、異なる手法で同定を試みた。すなわち、T細胞と血管平滑筋細胞に発現する遺伝子をマイクロアレイ比較解析し、血管平滑筋で転写調節に関わる12分子を抽出した。それらの発現ベクターとNFATc4プロモーターレポーターベクターをJurkat細胞に導入して検討した結果、NFATc4の転写活性化を誘導し、NFATの特異的発現制御を可能にする標的分子として有望なWWTR1を見いだした。以上、引き続き詳細な検討を進めることによって、臨床応用も可能な選択的NFAT制御法を開発できると期待される。
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