研究課題
細胞性粘菌由来の低分子化合物DIF-1は、粘菌の柄細胞分化誘導因子である。一方、化学合成した各種DIF誘導体(DIFs)は、哺乳類細胞において様々な薬理活性を有している。我々は、粘菌におけるDIF-1の作用機序の解析と、哺乳類細胞におけるDIFsの薬理作用の解析、並びに、DIFsをリード化合物とした抗がん剤、糖尿病治療薬、免疫制御剤等の開発を進めている。平成23年度の研究では以下を実施した。1.哺乳類細胞におけるDIFsのターゲットタンパク質(DIF-binding proteins:DBPs)を同定するため、DIFを結合したカラムを用いて、ヒト白血病K562細胞の抽出物の中からDBPsを部分精製し、SDS-PAGEで展開後、LC/MS/MS法によっていくつかのDBPsを同定した。2.DIFsは脂溶性低分子物質であるため細胞内に透過すると考えられているが、それを確かめた報告はない。我々はDIFの細胞内局在を明らかにするため、蛍光体を結合したDIF誘導体(F-DIF)を合成し、その薬理作用の確認と細胞内局在を検討した。その結果、F-DIFは、細胞膜系や細胞内穎粒に多く局在することが明らかになった。3.マウス胚性癌腫細胞P19CL6は、1% DMSO存在下でin vitro培養すると心筋様細胞に分化誘導される。我々は、この分化誘導系に対するDIFsの効果を検討した。その結果、ある種のDIF誘導体が、DMSOによる心筋分化誘導を強く促進することを見出した。4.免疫抑制剤/抗炎症剤の候補となっているDIF誘導体について、モデルマウスを用いてその薬効を検討した。その結果、当該DIF誘導体はMitogen刺激したマウス血中IL-2濃度を有意に下降させた。
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British Journal of Pharmacology
巻: 165 ページ: 870-879
10.1111/j.1476-5381.2011.01541.x
http://www.imcr.gunma-u.ac.jp/lab/molgen/