研究課題
1) セロフェンド酸の細胞保護作用の検討セロフェンド酸がアルツハイマー病における神経細胞死に重要な役割を果たすこと示唆されているアミロイドβタンパク質毒性に対して保護作用を有するか検討を行った。セロフェンド酸は24時間前投与することによりアミロイドβタンパク質の毒性を有意に抑制した。次いで、心臓におけるセロフェンド酸の作用をin vivoで検討する目的で、ラット心筋梗塞モデルを用いてセロフェンド酸の作用を検討した。セロフェンド酸は虚血開始15分前と虚血開始5分後に投与することにより有意に梗塞巣体積を減少させた。これらの結果より、グルタミン酸神経毒性が大きく関わる脳梗塞のみでなく、アルツハイマー病や虚血性心疾患においてもセロフェンド酸の臨床応用の可能性が示唆される重要な基礎的知見を明らかにした。2) 胎仔組織由来新規神経保護物質の探索生体内抗酸化メカニズムの一つとして重要な役割を果たす抗酸化応答配列(ARE)をレポーター遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)の上流に結合させたプラスミドを安定発現した細胞を作製した。このスクリーニング系を用いてARE活性を測定するために、ウシ胎仔血清およびウシ胎盤の有機溶媒抽出を行ない、抽出物を得た。その後ARE活性を測定したところ、ウシ胎仔血清のエーテル抽出物にARE活性化物質の存在が示唆された。これらの結果より胎児期組織には酸化ストレスに対して有用な役割を果たす化合物が含まれていることが期待される。
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