研究概要 |
今年度は、中コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネル(K_<Ca>3.1)機能修飾タンパク質を探索し、そのドミナントネガティブ体K_<Ca>3.1-spの生理的意義・発現調節機構を明らかにすることを目的として研究した。酵母two-hybrid法により、K_<Ca>3.1のC末端細胞内領域と相互作用する分子群を探索し、細胞骨格スペクトリンやチロシンリン酸化酵素Fynを同定した。これら分子のK_<Ca>3.1細胞膜移行や機能発現に及ぼす影響については現在検討中である。次に、マウス胸腺細胞増殖におけるK_<Ca>3.1-spの役割を検討したところ、K_<Ca>3.1-sp過剰発現によりコンカナバリンA刺激によるマウス胸腺細胞増殖が有意に抑制され、この際にCD4CD8フェノタイプがCD4^+CD8^+からCD4^-CD8^-に移行することを明らかにした(J Biol Chem, in press)。 オキサゾロン誘発性接触過敏症モデルでは、耳介リンパ節肥大(T細胞増殖)にK_<Ca>3.1機能亢進が関与することを見出した。K_<Ca>3.1機能亢進にはK_<Ca>3.1-sp発現変動は関与せず、K_<Ca>3.1発現増大が関与していた。また、K_<Ca>3.1阻害薬TRAM-34は、T細胞増殖を抑制することにより、耳介肥厚・耳介リンパ節肥大を抑制するだけでなく、K_<Ca>3.1発現増大自体を正常動物と同レベルまで回復させた。現在、この機構にエピジェネティック制御が関与しているか検討中である。
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