研究概要 |
(1) フラーレン(Flln)各誘導体を作製し、ヒト皮膚角化細胞へのUVA照射による細胞死を防御する活性をWST-1法で測り、PVP-, γ-CD(シクロデキストリン)-,Lipsm(レシチン/ステロール構成リポソーム)-,Sqln(スクワラン)-各Fllnは高活性だった(これらのFlln不含体は無効)。活性本体はFllnで、その存在様式の違いに依って活性大小が左右されると示唆された。(2) H_2O_2&Fe^<2+> (Fenton反応)で生じる"・OH"の消去効果をDMPO/ESRで検出し、水酸化((-OH)_<44>), PVP-, PEG-, Sqln-, LipSm-各Fllnが有効だが、PVP-Fllnは300μM以内が有効で600μM以上で活性低下したが、これはt-BuOOHによる細胞死への防御効果と相関した。H_2O_2&UVA/UVBによる"・OH"の消去効果でも調べ、Lipsm-Fllnは細胞死防御効果を示すUVAで有効だが、UVBでは細胞死防御効果も"・OH"消去効果も見られず、両効果の相関性が示された。(3) 水相より脂質相でのフリーラジカルを調べるためβ-カロテン退色法で測り、Fllnの水酸化体やγ-CD体は高活性だが、PVP/PEG/LipsmなどFlln包含体は劣った。脂溶性Flln分子部分が脂質相に接触しうるかが優劣の分れ目であると考えられる。(4) 物質レベルより細胞レベルでの抗酸化能が、臨床応用で重要だが、ヒト皮膚角化細胞にUVA照射して生じる細胞内のROOH/ROO・/H_2O_2を検出するCDCFH-DAで測った結果、PVP-, Lipsm-各Fllnが高活性だった。細胞内のO_2・-を検出するNBT法では、水酸化体とLipsm体が高活性だった。
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