(1) 新規ERAD遺伝子の過剰発現によってのAPPタンパク質分解が促進されるか、さらに、それによってAβの生成が減少するかを検討した結果、新規ERAD遺伝子のRNF19Bは、ユビキチンリガーゼ活性(E3)を有しており、APPのユビキチン化を促進しその分解を促進する可能性が明らかとなった。また、RNF19Bは、Aβの産生過程(APPの小胞体での成熟、小胞体からの膜移行、セクレターゼによるプロセッシング)に関与し、Aβの産生を促進することが推測された。 (2) ERADに関与するユビキチンリガーゼ(E3)である、HRD1をsiRNAを用いて発現抑制すると、同じくERADに関与するE3であるParkinの発現量が増加したことから、HRD1が関与する基質分解に対してParkinが代償的に働いている可能性が明らかとなった。 (3) 4-PBAの誘導体など種々の化合物についてシャペロン機能を解析することで、ケミカルシャペロンとしての活性を決定する分子機構を明らかにする目的で、ケミカルシャペロン機能の測定をLactalbuminを用いた蛋白凝集度の測定により行った。これまでに、浜名ら(本研究の連携研究者)が合成した、フェニル基と四つの炭素鎖からなるカルボン酸である4-PBAのフェニル基に官能基を入れたものや、カルボン酸の炭素鎖を変えた誘導体について構造活性相関が得られた。今年度はその詳細を論文にて報告予定である。
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