以下の業績を得た。 1)糖尿病時には、エンドセリンー1(ET-1)受容体のうち、ET_Aを介した収縮反応が増加し、ET_Bを介した弛緩反応が減少していることが新たに判明した。ET_Aを介した収縮反応にはMEK/ERK pathwayが関与し、この系を介する機構が亢進していることも新たに判明した。 2)内皮細胞におけるNO産生には、PDK-1/Akt(at Thr^<308>)/NOS activitiesが関与していることが考えられており、インスリンがこの系を調節していることが今回の実験によって新たに判明し、インスリン抵抗性によってこの機構を介したNO産生が減弱することが新たに判明した。 3)N-3系不飽和脂肪酸であるeicosapentaenoic acid(EPA)を2型糖尿病ラットに慢性投与すると、血管障害が著明に改善された。この原因として、1)内皮細胞依存性弛緩反応と収縮反応のバランスの改善、2)Nf-κBの不活性化、3)COX-2発現の低下が考えられた。
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