研究課題/領域番号 |
21590106
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
大室 弘美 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (00124470)
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研究分担者 |
谷口 泰造 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70346253)
氷見 敏行 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (30222243)
吉田 ルシア幸子 武蔵野大学, 薬学研究所, 助教 (20240327)
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キーワード | 神経変性疾患 / 炎症 / TNF-α / 抗炎症剤 / シコニン / MAPキナーゼ |
研究概要 |
神経変性疾患(アルツハイマー病等)の発症に炎症が関与する可能性が示唆されており、炎症性サイトカインであるTNF-αの可溶性レセプター製剤(エタネルセプト)がアルツハイマー病(AD)患者の認知能力を改善したとの報告もある。本研究の目的は、炎症性細胞からのサイトカイン等の産生や放出を抑制するSykキナーゼ阻害剤によるAD等の神経変性疾患の予防と治療の可能性を、疾患モデル動物[(1)LPS投与による認知能力低下マウス(ADモデル)、及び(2)タウ変異トランスジェニック(Tg)マウス(AD及びパーキンソン病モデル)]を用いて検討することである。 本年度は、効率的に研究を進めるために以下を行なった。1)LPSのロット、LPSの投与部位及び投与量等が、LPS投与によるマウスの認知機能低下の程度に大きく影響したため、適切なロットのLPSを用い投与部位と投与量にっいての適切な条件を設定し、その際の脳内のTNF-α量について解析中である。2)試験に使用するSykキナーゼ阻害剤を選択するために、シコニン(生薬シコンの有効成分。Sykキナーゼ阻害作用を有する)及びSykキナーゼ特異的阻害剤のTNF-α産生・放出に及ぼす影響を比較し、シコニンがより優れたTNF-α産生・放出の抑制作用を示すことを明らかにした。また、シコニンはLPS刺激によるToll様受容体を介した細胞内情報伝達に関与するMAPキナーゼ(MEK、ERK及びp38)を阻害すること、さらに、NOの産生抑制作用及びNOS(すべての分子種)活性の直接阻害作用を有すること等も明らかにした。3)Tgマウスを用いた試験実施の準備(マウスの作出等)を行なった。 以上の結果等を踏まえ、来年度はシコニン及びエタネルセプトについて、ADモデルでは認知能力等の改善効果を、パーキンソン病モデルでは歩行能力の改善効果を、溶媒投与群(対照群)と比較して評価する。
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