研究課題/領域番号 |
21590110
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
前田 定秋 摂南大学, 薬学部, 教授 (00135732)
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研究分担者 |
吉岡 靖啓 摂南大学, 薬学部, 講師 (40330360)
山室 晶子 摂南大学, 薬学部, 助手 (20340862)
石丸 侑希 摂南大学, 薬学部, 助教 (80611607)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / アペリン / 活性酸素種 / 神経細胞死 |
研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態には、酸化ストレス、小胞体ストレス、神経保護因子といった様々な要因が複雑に絡み合っており、これらの因子のクロストークを詳細に解析することが重要な検討課題である。また、昨年度までの検討で、脊髄における運動神経の生存と機能維持へのアペリン/APJシステムの関与が示唆されている。そこで本年度は、ALSの病態進行におけるアペリンの役割を明らかにする目的で、ALSモデルマウスであるSOD1(G93A)transgenicマウスとアペリンノックアウトマウスを交配させ、ダブルミュータントマウスを作製し、運動神経細胞数、ミクログリアの活性化、運動機能障害について検討した。その結果、ダブルミュータントマウスにおいて、コリンアセチルトランスフェラーゼ抗体を用いた免疫組織化学的染色により染色された運動神経細胞数は、SOD1(G93A)マウスと比較して有意に減少した。また、ダブルミュータントマウスでは、SOD1(G93A)マウスでみられる運動機能障害が増悪する傾向を示した。さらに、ダブルミュータントマウスでは、Iba1陽性の活性化ミクログリア数も有意に増加した。次に、アペリンが直接神経細胞に対し保護作用を示すか否かを明らかにする目的で、ラット胎児より初代培養神経細胞を調製し、代表的な活性酸素種である過酸化水素による細胞死に対するアペリンの保護作用を検討した。その結果、アペリンは、神経保護因子として知られる血管内皮増殖因子(VEGF)の神経保護作用を著明に促進した。このように本年度は、ALSでの運動神経細胞死に対し、アペリンが保護作用を示すこと、アペリンの神経保護作用にはVEGFとの協調的な作用が重要であることを明らかにした。
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